はじめに

 このたび北海道大学脳神経外科では、北海道大学付属病院国際貢献事業の一環として、もやもやセンターのWeb siteを開設することになりました。
海外から日本での治療を希望する患者さんを積極的に受け入れるだけでなく、日本の患者さんにも、病気に関する情報の提供や、診断・治療面での疑問や問題の解決にお役に立てればと考えております。もちろん我々は、これまでと同様に多くの患者さんに受診していただければ、実際の診察・検査・治療などの診療面で、多くのもやもや病およびその周辺領域の疾患の方々のお役に立てることがあると考えております。
また、脳神経外科専門医の先生の中で特にもやもや病に興味がある先生方、或いは治療に苦慮する例などございましたら、いつでも我々にご相談いただけましたら幸いです。

 

はじめに

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患者さんへ

 もやもや病は、厚生労働省が指定する難病ではありますが、病気の原因が全く見当もつかず、なんの治療法もない不治の病と言う訳ではありません。
しかし、“自分が果たしてもやもや病なのだろうか?”、“主治医から手術を勧められているが受けるべきか?”、“手術方法がいろいろインターネットに掲載されているがどれを受けるのが良いのか?”、“既に手術を受けたが脳虚血発作がおさまらない”・・・などの疑問を抱えている患者さんは未だに多いのだろうと思います。
このホームページは、そうした疑問を解決するために少しでもお役に立てる情報を掲載・更新していくことを目的としています。但し、個別の患者さんの診療情報に関するご相談に関しては、メールでのやり取りだけでお答えすることには限界がありますので、実際に当院を受診していただくための外来診療の窓口が、別掲北海道大学病院脳神経外科受付として、開かれておりますのでお気軽にご相談ください。

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もやもや病またはその周辺疾患を診療されている
医師の皆様へ

 2014年現在、もやもや病には、厚生労働省研究班が定めた診療ガイドラインおよび診断基準が明確に定められています。しかしながら、合併症や併存症のために診断に苦慮するケースが存在します。本疾患の根本的な治療はないものの、脳虚血症状を有する場合や、出血発症の成人もやもや病に対する再出血予防としての脳血行再建術が有効であることが知られています。しかしながら薬物療法については対症療法的でエビデンスレベルの高い方法は存在せず、手術の実施時期や手術方法についても、病状に応じた的確な術式は未だ定まっていません。
中でも、一部の類もやもや病(例えば動脈硬化合併例やコントロールされた甲状腺機能亢進症合併例など)ともやもや病確定診断例との鑑別、既に血行再建を行った後の虚血症状の再発例や、後大脳動脈領域の虚血の治療など、判断に困るような症例についてご相談いただき、是非我々の経験をshareさせていただければと考えています。

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我々の取り組み

 我々は1990年という早い時期から、比較的大きな前頭側頭開頭を行い、浅側頭中大脳動脈吻合(2カ所もしくはそれ以上)と硬膜・側頭筋・浅側頭動脈・帽状腱膜または頭蓋骨膜接着術を行う複合血行再建を基本としてきました。
これは、前頭葉と側頭用の可能な限り広い範囲に、術後早期から最大限の血管再生を促す事を期待できる反面、複雑な手順を要します。
2012年より、もやもや病の診断・原因探索をさらに深めるとともに、血行再建術の技術面を再検討することにしました。第一に、血行再建術についてはこれまでの斬新かつ有効な術式を模索する時期とすると、これからは血行再建術の正確さ如何に達成するかがポイントと思われます。さらに最近、これまでに我々が経験した約200症例の詳細な臨床および画像記録を後方視的に検討するとともに、もやもや病血行再建術の学術論文をsystematic reviewしmeta-analysisした結果、もやもや病血行再建術の転帰を左右する最大の要素は、術後早期の合併症であることを明らかにしました。適切な周術期管理を目指して臨床研究を継続します。
第二に、もやもや病の遺伝子ゲノム研究をすすめます。Geneticsおよびepigeneticsという側面から、もやもや病感受性遺伝子だけでなく、新たな遺伝マーカーである遺伝子コピー数多型、さらにiPS細胞を用いた疾患研究をもやもや病に応用し、病因探索をさらに前進させ、より客観的なゲノム指標によるもやもや病の的確な診断法の確立をめざします。最終的にはもやもや病の原因解明や、根本的な治療法の開発を目指し、北海道大学医学部および大学病院において様々な疾患ゲノム研究や臨床研究を行っています。